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ゼロからトースターを作って伝えたかったこととは?/「ゼロからトースターを作ってみた」読んでみた

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100円ショップに並んでいる単純な製品でも、もしゼロから自分で作ろうと思ったら、途方もない苦労をするのではないでしょうか。
「ゼロから」というのは、パーツから組み立てるという話ではなく、例えば鉄なら鉄鉱石から、プラスチックなら原油からということです。

ましてや、電化製品ともなれば、とてもじゃないけど一人で作り上げられる気がしない…。それがたとえ、とてもシンプルそうなトースターであっても、です。

そんな無謀な挑戦を、実際にやっちゃったのが「ゼロからトースターを作ってみた結果」 (新潮文庫) です。

ゼロからトースターを作ってみた結果 (新潮文庫)

著者は原料をかき集めるところからはじめ、素材を作り、組み立て、トースターを完成することができるのでしょうか。

それはイギリスの美大生の卒業研究

「ゼロからトースターを作ってみた結果」はあるイギリスの美大生が卒業研究の一環として取り組んだ、ある種のアート的挑戦です。

専門家の教えを請いながら、鉄なら鉄鉱石を入手するために旅に出て、プラスチックなら原油から精製するために悪戦苦闘する…。買えば数千円で済むトースターでも、ゼロから自分の手で作ろうと思ったら、無謀とも思える挑戦を強いられます。

「やる意味がない」「できっこない」と言われることでも、あえて挑んでみることにはどこか価値があって、実際この本には勇気づけられる不思議な魅力があります。

それは、この挑戦の背景には、ある大きく普遍的な問いがあるからでしょう。

「ゼロから作ろうと思ったらこんなに大変なものが、なんでこんなに安く手に入るんだろう?」という、問いが。

犠牲の上に成り立つ大量生産

工業製品は人類が築きあげてきた膨大な知識とノウハウの集合体です。一つひとつの小さなプロセスを数積み重ね、集約させた結果です。

そして、工業製品を大量かつ安価に提供し続けるためには、環境への犠牲がつきものです。著者は、トースターの原材料を集める過程で、汚染された大地に立ち、有害物質に触れることで、そのことを痛感します。

著者がゼロからトースターを作った上で本当に伝えたかったメッセージとは、
「安いトースターでもゼロから作ろうと思ったら、とっても大変なんだよ!」
ということではなく、
「手作りしようと思ったらこんなにも大変なトースターが、安価で手に入るのか。一度立ち止まってみんなで考えてみてもいいんじゃないのかい?」
だったのでしょう。

本とは常に答えを用意してくれるものではないかもしれませんが、考えるきっかけを与えてくれるものです。

で、肝心のゼロから作り上げたトースターでちゃんとパンを焼く(トーストする)ことができたのか…。それは本を開いてご確認ください。

 

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